施工業者なら誰でも知っている「あと施工アンカー」とは、アンカー本体もしくはアンカー筋の一端を既存コンクリート躯体に埋め込み、他端を耐震補強のため設置する部材に定着することで、存在応力の伝達を図るために使用されるものです。あと施工アンカーには「金属系アンカー」と「接着系アンカー」の2種類があり、今回は金属系アンカーの本体打ち込み式溶接アンカーを紹介していきたいと思います。
従来の溶接アンカーのここが大変!
従来の本体打ち込み式溶接アンカーはどのようにして固定していくのか改めて確認をしてみましょう。所定された位置に定められた径のドリルをコンクリート面に対して直角に一定の深さまで穿孔します。穿孔できたら孔内に切粉が残らないように綺麗に掃除し穿孔の深さを確認します。そして溶接アンカーを挿入しハンマーなどで打ち込みます。溶接アンカーの下部が拡張されたかどうか確認して固定完了となります。
- 墨出し・へりあき・はしあき位置を確認
- 作業道具や溶接アンカーなどを作業前に確認
- 定められた径のドリルを選定
- ドリルに規定の孔深さのところをマーキングをする
- コンクリート面に対して直角に穿孔する
- 切粉が孔内に残らないように掃除して穿孔の深さを確認
- 溶接アンカーを挿入
- 溶接アンカーを打ち込み拡張されたかどうかを確認する
手順としては複雑ではないものの従来の溶接アンカーでは初心者と経験値のあるベテラン施工業者ではクオリティーに差が出てきてしまうのです。差が出てきてしまうポイントとしてドリルでの穿孔とハンマーによる打ち込みがあげられます。
- ドリルの穿孔で深さが異なってしまう!
本体打ち込み式溶接アンカーを施工する手順の中に「ドリルに規定の孔深さのところをマーキングをする」とあるから穿孔の深さは一定するんじゃないの?って思われる方もいると思います。しかし、ドリルで穿孔するのは人の手で行うので微妙に深さが変わってきてしまうのです。では穿孔の深さが均一になっていないとどのようなことが起こるのでしょうか。
まず深さが深い場合、溶接アンカーを勢いよく打ち込むと穿孔に入り込んで突出する長さが不足してしまいます。それなら突出する長さを他の溶接アンカーと同じにすれば良いのでは・・・と考えてしまいますがそれもまた問題があるのです。溶接アンカーは底部がコンクリートに当てながら打つことにより下部が拡張されてアンカーを固定させる仕組みになっています。そのため、まだ底に達していない状態で打ち込むのを止めてしまうと溶接アンカーは拡張されておらず定着強度が弱くなってしまうのです。
一方、穿孔が浅い場合はどうでしょう。溶接アンカーの突出が定められた長さより長い場合、まだ打ち込まないといけません。しかし穿孔が不十分だったために溶接アンカーはすでに底に付いてしまい拡張をしてしまっています。しかし、底に達していると気づかずに溶接アンカーをハンマーで打ち付けてただただ体力だけが消耗してしまうのです。このように従来の溶接アンカーは外観では埋め込み深さ不足を確認しにくいのです。 - 打ち込みで高さがまばらに!
本体打ち込み式溶接アンカーの高さは全て一定に打ち込むのが最適です。しかし従来の溶接アンカーは棒状になっているだけで、目安になるものがないので感覚で打ち込むしかないのです。経験が長いベテランの施工業者であれば長年培った経験で溶接アンカーを一定に打ち込むことができるかもしれませんが、初心者の施工業者だとどうでしょう。このぐらいで問題ないと思っていても微妙にズレていたり、力加減を間違えてしまい思いのほか打ち込んでしまったなんてことがあり一定に溶接アンカーを打ち込むのは案外難しいのです。
- 上向き施工が難しい!
そして施工は下向きだけではなく上向きで行うこともあります。上向きの施工だと腕を上げて作業を行わないといけないので施工業者の体力の消耗が激しいですよね。そんな中本体打ち込み式溶接アンカーをハンマーで打ち込むのは重力に逆らって打ち込んでいくのでとても大変な作業となります。
「ウェルドコブラ」は誰でも高さを一定に!
このように従来の本体打ち込み式溶接アンカーは誰でもが一定の高さに打ち込めるものではありません。そのため施工業者の中でもできる作業、できない作業が出てしまい、それぞれの作業に差が出てきてしまうのです。
そんな施工業者のお声を聞き新しく作り出されたのが日本パワーファスニングの「ウェルドコブラ」です。
ウェルドコブラの特徴はクネっとゆがんでいる軸に頭部が大きくなっているところです。従来の本体打ち込み式溶接アンカーは下部の拡張によりアンカーを固定させていましたがウェルドコブラは特徴的なゆがんだ軸の部分で固定させるのです。これで本当に大丈夫なの?と心配される方もいらっしゃると思いますが、ウェルドコブラは手で軽く押し込むだけで落ちてこないので上向きの仮止めに使用することも可能なのでサッシの仮吊りに使用される施工業者もいらっしゃいます。そして大きくなっている頭部に合わせて打ち込むことにより高さを一定にすることができるので初心者でも扱いやすい溶接アンカーなのです。
従来の本体打ち込み式溶接アンカーでドリルの穿孔が深かった場合と浅い場合のお話をしましたがウェルドコブラではどのように対処することができるのかご説明します。
まず穿孔が深い場合ですが、従来の本体打ち込み式溶接アンカーでは突出する長さが不足になるだけではなく溶接アンカーの拡張がされないので強度も弱くなるとお話ししました。しかし、ウェルドコブラではアンカーの底にコンクリートが当たらなくても軸のゆがみで固定されるので強度が落ちることはありません。さらに、頭部が大きくなっておりストッパーの機能となるので頭部に合わせて打ち込んでいただくと打ち込みすぎてしまったという問題は起こりません。
次に穿孔が浅い場合は、打ち込んでいる際進まないという場合底に達しているんだとすぐに判断することができます。ウェルドコブラの頭部までの距離を再度ドリルで穿孔すれば良いので作業をスムーズに行うことができます。ウェルドコブラは外観で埋め込み深さ不足の確認が容易にできるので、悩む時間を解消させて作業効率がアップするのです。
コブラツールで楽々打ち込みができる!
従来の本体打ち込み式溶接アンカーはハンマーで打ち込んでいくので力がどんどん消耗されていきます。一方ウェルドコブラはもちろんハンマーで打ち込むこともできるのですが「コブラツール」を使うことによって簡単に打ち込むことができるようになりました。コブラツールとはハンマードリル用打ち込み棒であり、ハンマードリル(SDS-plusシャンク)に装着してウェルドコブラに当てると楽々打ち込みができてしまうのです。そのため上向きでの施工の際も簡単に打ち込むことができ力の節約にも役立つのです。
「ウェルドコブラ」の軽量化実現!
そしてウェルドコブラは施工業者の作業効率を考え軽量化させました!
従来の溶接アンカーは重さ約28gに対し、ウェルドコブラの重さは約14gと約50%軽くさせました。そして長さも従来の溶接アンカーは約60mmなのに対してウェルドコブラは約45mmと軽量化だけでなく小型化させたので持ち運びもさらに容易となりました。そのためウェルドコブラを使用する際は従来の溶接アンカーより細いφ6.4mm径のドリルを使用することができるので、コンクリートに穴をあける際の抵抗が少なくて済み作業スピードが上がるのです。また、作業をする際施工業者は溶接アンカーを1つだけではなく大量に身につけ施工をしています。たかだか14gの差と思われるかもしれませんが常に持ち運んでいる施工業者にとっては負担が少しでも軽減されるのではないでしょうか。
業務効率アップ「ウェルドコブラ」の詳細
- ウエルドコブラのサイズと仕様
- パッケージ情報