打ち込み式オールアンカーの危険性を徹底解説

打ち込んだ内部はどうなっている?

コンクリート部材を取り付けたり固定する際にみなさんはどのような部品を使用していますか?部材をコンクリートに固定させる為に「あと施工アンカー」を使用している方も多いのではないでしょうか。特に「オールアンカー」は誰でも簡単に使用できると使用頻度が多いと思います。しかし、このオールアンカーはコンクリートのヒビ割れを起こす原因になっているのはご存知ですか?
オールアンカーはハンマーなどを使用し、芯棒を打ち込むと芯棒が頂部まで到着し拡張部が開脚する打ち込み式となっています。そしてオールアンカーが拡張されることによってコンクリートに食い込み固着させるのです。しかし、このオールアンカーの大きな特徴でもある拡張がコンクリートに衝撃を与えヒビが割れやすくなるのです。見える範囲ではヒビが入っていなくても拡張部にヒビが入っている可能性があり、このヒビが今後広がっていくことになるのです。

コンクリートのヒビが悪影響を与える!?

ではコンクリートにヒビが入るとどうなるのでしょうか。
アンカーによるコンクリートのヒビ割れはオールアンカー設置箇所を通って発生する為、アンカーの耐荷力に大きく影響します。コンクリートにとってはなんともないヒビ割れ幅であっても、オールアンカーの性能や耐久性に悪影響を及ぼすのです。

  • 固着力の低下
    オールアンカーは拡張部を開脚させ、コンクリートに食い込ませて固着しています。しかしそこにヒビが入っていると付着力や摩擦力などが低下することで固着力が低下していくのです。ヒビ割れ幅が0.2mmであっても、オールアンカーの耐荷力に影響があるという研究結果があります。その為、アンカーを施工する際にはなるべくヒビ割れをさせないように作業をしないといけないのです。また、ヒビ割れ幅に関わらずヒビ割れの距離が8dの場合であっても耐荷力が低下したという結果もあるのです。

  • オールアンカーの腐食が進む
    コンクリートには、コンクリートから出るアルカリで表面に不導体膜(酸化被膜)が作られアンカーをサビから守ってくれるという効果があります。その効果により打ち込んだオールアンカーの酸化を防いでくれるのです。しかし、ヒビ割れが発生すると、サビの原因になる空気や水が侵入してしまい、アンカー周辺のアルカリも溶出しpH値は下がっていきます。その結果オールアンカーの腐食が進行してしまうのです。

  • コンクリートへのダメージ
    コンクリートには無害だったヒビ割れも、オールアンカーが錆びることにより有害になることがあります。錆びたオールアンカーは、その容積を膨張させ、その膨張圧力でコンクリートのひび割れを押し広げていきます。また、最終的にサビ汁がコンクリートの表面に出てきてしまうこともあります。

撤去時の労力にも影響を与える

では次に打ち込み式オールアンカーの撤去時はどうでしょうか。撤去する際にまずはカッターなどでアンカーを切断する必要があります。この時に強い光から守る為に遮光マスク、熱から守る為に革の手袋やエプロン等の防護服などを準備しなければなりません。切断するには時間を要するだけではなく、切断時に火花が飛び散るのでその際の火災対策や切断面のサビ対策が必要になります。また、残したオールアンカー本体が錆びて膨張しコンクリートに悪影響を及ぼす恐れもあるのです。
また、オールアンカーを切断する際、綺麗に切断したと思っていても、コンクリートから少し出てしまっている場合があります。その為、作業員が切断したオールアンカーに躓いてしまい転倒する恐れが出てくるのです。作業員にとってはリスクをなるべく抑えて安心して作業を行いたいものです。

コンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」だとオール解決!

このようなコンクリートのヒビ割れリスクを抑え、アンカーの撤去も簡単にさせたのがコンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」です。タップスターはねじ固定式なので打ち込み式のオールアンカーと施工方法が異なるのです。
タップスターの使用方法は、まず所定の位置に指定の大きさのドリルで穿孔していきます。その際、タップスターを埋め込む深さより10mm程度深めにあける必要があります。ドリルで穿孔すると切粉が出てくるので、ダストポンプや集塵機で切粉を除去します。あらかじめタップスター専用のソケットを装着させたインパクトドライバーでタップスターを埋め込みます。そしてナットで取り付け物を固定して完了です。

  1. ドリルで穿孔(タップスターを埋め込む深さより10mm程度深めにあける。)
  2. ダストポンプや集塵機で切粉を除去
  3. インパクトドライバーにタップスター専用のソケットを装着
  4. ドリルであけた穴にタップスターを差し込む
  5. インパクトドライバーでタップスターをねじ込む
  6. ナットを締めて取り付け完了

打ち込み式のオールアンカーとは違い、タップスターはインパクトドライバーを使用して取り付けるので誰でも確実に施工できるだけではなく、施工スピードの向上にも繋がります。

では、どのようにして上記の問題を軽減させたのでしょうか。まずコンクリートのヒビ割れリスクの軽減ですが、こちらには2つの理由があります。

  • オールアンカーのように拡張しない
    オールアンカーは拡張部を開脚してコンクリートに固着させます。もちろんその時の衝撃によりコンクリートにヒビが入ってしまうこともありますが、その他にもへりあき不足によりヒビ割れを発生させることがあるのです。アンカーを打ち込む際に母材や部材などの強度が保たれる距離に墨入れをしていることでしょう。しかし、オールアンカーの拡張部の開脚によってはこの距離が不足してしまい、コンクリートの強度が足りずに割れてしまうことがあるのです。その一方で、タップスターはネジの形をしており拡張することはなく、一定方向に力を入れてねじ込むので、オールアンカーに比べてアンカーによるヒビ割れが少なくなるのです。

  • 細いドリルを使用する
    打ち込み式のオールアンカーは芯棒をアンカー本体に打ち込んでいくのでタップスターに比べるとアンカー本体の幅が広いです。それに合わせてドリルの幅も変わってくるのですが、コンクリートに穿孔する際、太いドリルであれば、その分コンクリートの抵抗力が強く力を入れて穿孔しなければなりません。その衝撃によりコンクリートが割れてしまう可能性があるのです。一方タップスターはオールアンカーに比べると細いので細いドリルを使用します。ドリルの体積が小さくなるとコンクリートの抵抗力も低下し、衝撃が少なくなり穿孔スピードも上がるので一石二鳥です。穿孔スピードが上がるということはコンクリートに与える衝撃も短時間に抑えることができるのです。

次に、オールアンカーでは撤去時の労力がかかってしまうのですが、タップスターでは撤去も楽々に行えます。なぜならタップスターはねじ固定式だからです!取り付ける時にインパクトドライバーを使用したように、撤去時にはインパクトドライバーを半回転させると楽々撤去できるのです。さらに、サビにくいステンレス製のタップスターを使用することでサビによってアンカーが折れてしまったりすることもないので、撤去時の作業効率を上げてくれるのです。

コンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」の寸法・施工使用

タップスターはステンレス製のそのほかにも鋼製があり用途によって使い分けていただくことができます。

タップスターの寸法(全長は先端凸部を含みません。)

そのほかにも新しく「タップスターM16」も開発され、ドリル径が15.0と従来のオールアンカーより2mm細く、コンクリートの抵抗力が弱まるので穿孔スピードが上がり、施工効率をアップさせます。「タップスターM16」でも端部や仕上げ材が割れにくいメリットもありますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

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