従来のワンサイドボルトと最新ワンサイドボルトの違いとは

ワンサイドボルトとは

通常部材と部材を固定する際どの様に固定させますか?ドリルで部材に穴をあけ、そこにボルトを挿しこみ反対側からワッシャーとナットを固定させる方法が一般的な留め方です。しかし、それは反対側に手が届いたり、人が入って固定できる場合にのみしか適応ができません。挿入させたボルトの反対側に手が届かない場合の問題を解決させたのが「ワンサイドボルト」です。

ワンサイドボルトの特徴はねじ部分を拡張部が覆われており、ボルトを締め付ける際にナットの反対側にある拡張部がどんどん部材方向に曲がりながら上がっていき部材を固定させます。

ワンサイドボルトの取付け方法は、通常のボルトと同じように締結する部材にドリルで穴をあけます。その穴にボルトを入れて専用ドライバーでナットを締め付けていくと拡張部が開脚されるので固定されたら、取付完了です。片側だけでボルトを締めることができるので狭い場所などの作業にもピッタリです。

  1. ドリルで穿孔
  2. ワンサイドボルトを挿し込む
  3. 専用ドライバーでナットを締めつける
  4. 拡張部が開脚し固定される
  5. 取付完了

また、ワンサイドボルトには橋梁補修や建築耐震・補強・改築を始め、建築建方やプラント建設など、あらゆる鋼構造物に使用されている高力ワンサイドボルトもあるので、大きさから用途までさまざまあるのです。

ワンサイドボルトは溶接がいらない

ボルトを使用しないで部材を取り付ける場合、「溶接」という方法を使用していきます。溶接とは金属を溶かして接合することであり、一部を溶かした状態で冷却し固まらせることで、1つに接合するという仕組みです。溶接をすることで材料および施工時間の短縮ができるので、コストダウンに繋がります。また、作業時の騒音が少ないので近隣にも配慮できる方法なのです。しかし、材料によっては溶接した箇所がもろく、割れやすくなったり、歪みが発生し寸法精度の維持が難しかったりと、熟練を要する作業になるのです。さらには、溶接時火花がとびちるので安全面の配慮が必要です。周囲を整理整頓し可燃物の除去を徹底しないと断熱材へ着火し火災の原因になる恐れがあるのです。そして溶接後は部材内部の欠陥や異常がないか確認する為に「超音波深傷検査」をする必要があります。超音波深傷は、最も幅広く使用されている非破壊検査手段の一つであり、安全性が高く、また装置もコンパクトな為場所を選ばずに検査することができます。この検査をすることにより超音波の進行方向に割れなどを検出することができたり、溶接部や鍛鋼品などの内部の状況確認するのです。

このように溶接する作業員が決まられ、作業中は火花が飛ぶので安全面に考慮し、さらには超音波深傷検査が必要と、時間だけではなく手間もかかってしまいます。その為、ワンサイドボルトのような火気不要の乾式接合工法にすることにより、初心者でも安心安全に取り付けられるのでリスク回避の為に使用することが可能なのです。

ワンサイドボルト「ブルームスタッド」の特徴

さまざまなワンサイドボルトがある中、芯棒打ち込み式のワンサイドボルト「ブルームスタッド」は従来のワンサイドボルトとは違った特徴があるのです。芯棒打ち込み式ワンサイドボルトであるブルームスタッドを開発した日本パワーファスニング。このブルームスタッドは特許取得済み製品なので日本パワーファスニングでのみ製造できない形のワンサイドボルトなのです。

では従来のワンサイドボルトとブルームスタッドはどのように異なるのでしょうか。
まず最初の異なる点は、ブルームスタッドは工具が不要だということです。従来のブルームスタッドは専用のドライバーを使用してボルト本体を固定させていましたが、ブルームスタッドではハンマーとトルクを用意するだけで特別な専用の工具を別途購入する必要がないのです。(※穿孔にはドリルが必要となります。)

専用工具が必要ないブルームスタッドは構造もとてもシンプルです。アンカー本体に部材とアンカーを固定させる為の皿ばね付ナットとアンカー本体を拡張させる為の芯棒のみです。
芯棒をハンマーで打ち込むことで芯棒がアンカー本体の拡張部まで届き、拡張部が開脚され固定されるという仕組みなので、反対側に手が届かなくてもアンカーを固定させることができるのです。その為、従来のワンサイドボルトと同様、溶接をする必要がなく安心して施工することができます。
外壁の開口補強材や外壁を停める金具として使用される「アングル」や壁や柱などに取り付けて庇(ひさし)・梁(はり)・棚・床などの突出部分を支える横材である「ブラケット」などの固定に使用することも可能なのです。

また、重量があるものを吊り上げる場合に使用される部品の「アイナット」やボルト同士の締結に使用される部品である「高ナット」の接続にも好適です。

ワンサイドボルト「ブルームスタッド」の作業手順

芯棒打ち込み式のワンサイドボルト「ブルームスタッド」はドリルとハンマー、トルクの3つの工具を使用するだけでアンカーを固定させることができます。

  1. ドリルで穿孔
    φ13.0の鋼板用ドリルで貫通穿孔します。その際、ドリルはホールソーシャンクセンタードリルタイプもしくはホールソーシャンクセンターピンタイプを使用します。ホールソーシャンクセンターピンタイプを使用する場合はφ2〜3の先穴が必須となります。(※推奨回転ドリル諸元700W、1200回転。インパクトドリルは使用不可です。)ストレートタイプの鉄鋼ドリルを使用する場合は小径の先穴を空け、φ13.0を穿孔すると比較的用意に穿孔できます。

  2. アンカーを挿入
    ねじ山保護の為、ナットを上側にセットしておきます。(この時はまだ、芯棒は外した状態にしてください。)取付物をあてがい、本体を軽く叩いてした穴に挿入します。

  3. 芯棒をハンマーで叩き込む
    ナット座面を開いて部材をあてがい、芯棒を本体に入れてハンマーで打ち込んでいきます。

  4. アンカー拡張部を拡張させる
    芯棒頭部が本体頭部に当たるまでハンマーで打ち込んでいきます。すると本体頭部が拡張されます。

  5. ナット締め付け
    本体を手前に引き寄せ、少し引きながらナットを回します。この時、本体頭部が拡張されているので外れる心配はありません。

  6. 施工完了
    最後にナットを締め付けて施工完了です。ナットを締め付ける時に使用するトルクは30N・mを推奨しています。

初心者でも端部に取付可能!

従来のワンサイドボルトとブルームスタッドでは拡張部の開き方が違うのですが、どうしてブルームスタッドは従来の拡張方法を同じにしなかったのでしょうか。その理由に拡張部の幅の制限を少なくさせたかったという声がありました。

従来のワンサイドボルトはアンカーのねじ部に拡張部が上から覆われています。その為固定していくと拡張部が中心から少しずつ広がり一度丸太の様に拡張してから中心が折れて花びらのように固定されます。従来のワンサイドボルトの拡張された時の幅はねじ部の約半分の長さになるので幅の制限が出てきてしまうことがあります。一方でブルームスタッドはアンカー本体に「ねじ部」と「拡張部」が分かれています。その為拡張されるのはこの拡張部のみであり、拡張しても広いスペースを取ることがありません

ブルームスタッドの拡張部と従来のワンサイドボルトの拡張部を比較すると、拡張部の幅が大きく異なることがわかります。従来のワンサイドボルトの拡張部の幅が広いので、その分のスペースを確保する必要があり、角パイプの端部などの施工は不可能でした。しかしブルームスタッドの拡張部はわずかなスペースのみなので、端部ギリギリに固定することができるようになったのです。

ブルームスタッドの詳細情報

  • ブルームスタッドの仕様
  • 実体引抜き試験 技術データ
試験本数:各3本
※最大荷重は社内試験における実経値です。保証値ではありません。
  • 実体せん断試験 技術データ
試験本数:各3本
※最大荷重は社内試験における実経値です。保証値ではありません。