最新ワンサイドボルト、徹底解説

ワンサイドボルトは、主にボルトナットを使用して部材を締結させる際反対側に手が回せない状況で施工できるファスナー(ボルト・ナット)のことです。橋梁補修や建築耐震・補強・改築を始め、建築建方やプラント建設など、あらゆる鋼構造物に使用されています。作業している反対側に人あるいは手を入れずに済むワンサイドボルトは省人化できるほか作業が比較的簡単に取り付けられるので需要のあるボルトです。

ワンサイドボルトは溶接不要で検査不要!

ワンサイドボルト以外のボルトを使用し部材と固定させる場合、固着させる為に溶接をする必要があります。
溶接は熟練を要するので誰でもできる作業ではなく、また火花が飛び散るので安全面にも考慮する必要があります。その上外で作業を行っている場合は良い天気の日にしか溶接をすることができないのでとても左右される作業の1つなのです。
また、溶接した後は材料内部の欠陥や異常がないか確認する為に超音波深傷検査する必要があります。超音波深傷は、最も幅広く使用されている非破壊検査手段の一つであり、安全性が高く、また装置もコンパクトな為場所を選ばずに検査することができます。この検査をすることにより超音波の進行方向に割れなどを検出することができたり、溶接部や鍛鋼品などの内部の状況確認するのです。

このように溶接する作業員が決まられ、作業中は火花が飛ぶので安全面に考慮し、さらには超音波深傷検査が必要と、時間だけではなく手間もかかってしまいます。その為、ワンサイドボルトのような火気不要で乾式接合工法にすることにより、初心者でも安心安全に取り付けられるのでリスク回避の為に使用することが可能なのです。

ワンサイドボルト「ブルームスタッド」の特徴

ワンサイドボルトには橋梁補修などに使われる高力ワンサイドボルトから部材を締結させる一般のワンサイドボルトと色々な種類がある為さまざまな場面で使用されています。その中でも日本パワーファスニングが開発した「ブルームスタッド」は芯棒打ち込み式であり従来のワンサイドボルトと拡張方法が異なり、使用できる範囲がさらに広がりました。そしてなんといってもブルームスタッドは特許取得の製品なのです。

最初の違いは、特別な工具が不要だという点です。
従来のワンサイドボルトは専用のドライバーなどを使用し、ボルト本体を固定していましたが、「ブルームスタッド」は穿孔するドリルとブルームスタッドを固着させる為のハンマートルクを用意するだけでいいのです。特別な専用の工具が必要ないので、誰でも初期費用を抑えて使用することができるのです。

専用工具が必要ないブルームスタッドですが、構造はとてもシンプルです。アンカー本体に固定させる為の皿ばね付ナットとアンカー本体を拡張させる為の芯棒のみ。コンクリート用の芯棒打ち込み式アンカーと構造は同じです。
芯棒をハンマーで打ち込むことでアンカー頭部に芯棒が届き、アンカー頭部が拡張され固定されるという仕組みなので、反対側に手が届かなくてもアンカーを固定させることができるのです。その為、従来のワンサイドボルトと同様、溶接をする必要がなく安心して施工することができ、アングルやブラケットなどの固定に使用することも可能なのです。

ワンサイドボルト「ブルームスタッド」の作業手順

芯棒打ち込み式のワンサイドボルト「ブルームスタッド」はドリルとハンマー、トルクの3つの工具を使用するだけでアンカーを固定させることができます。

  1. ドリルで穿孔
    φ13.0の鋼板用ドリルで貫通穿孔します。その際、ドリルはホールソーシャンクセンタードリルタイプもしくはホールソーシャンクセンターピンタイプを使用します。ホールソーシャンクセンターピンタイプを使用する場合はφ2〜3の先穴が必須となります。(※推奨回転ドリル諸元700W、1200回転。インパクトドリルは使用不可です。)ストレートタイプの鉄鋼ドリルを使用する場合は小径の先穴を空け、φ13.0を穿孔すると比較的用意に穿孔できます。

  2. アンカーを挿入
    ねじ山保護の為、ナットを上側にセットしておきます。(この時はまだ、芯棒は外した状態にしてください。)取付物をあてがい、本体を軽く叩いてした穴に挿入します。

  3. 芯棒をハンマーで叩き込む
    ナット座面を開いて部材をあてがい、芯棒を本体に入れてハンマーで打ち込んでいきます。

  4. アンカー拡張部を拡張させる
    芯棒頭部が本体頭部に当たるまでハンマーで打ち込んでいきます。すると本体頭部が拡張されます。

  5. ナット締め付け
    本体を手前に引き寄せ、少し引きながらナットを回します。この時、本体頭部が拡張されているので外れる心配はありません。

  6. 施工完了
    最後にナットを締め付けて施工完了です。ナットを締め付ける時に使用するトルクは30N・mを推奨しています。

端部でも使用可能!

今でも十分に本領発揮しているワンサイドボルトですが従来のものとブルームスタッドではどこが異なるのでしょうか。
まず、ブルームスタッドはアンカー本体に「ねじ部」と「拡張部」が分かれています。その為拡張されるのはこの拡張部のみであり、拡張しても広いスペースを取ることがありません。一方で従来のワンサイドボルトはアンカーのねじ部に拡張部が上から覆われています。その為固定していくと拡張部が少しずつ広がり中心から折れて羽のように拡張していきます。拡張部はねじ部の約半分の長さになるので幅の制限が出てきてしまうことがあります。

ブルームスタッドの拡張部と従来のワンサイドボルトの拡張部を比較すると、拡張部の幅が大きく異なることがわかります。従来のワンサイドボルトの拡張部の幅が広いので、その分のスペースを確保する必要があり、角パイプの端部などの施工は不可能でした。しかしブルームスタッドの拡張部はわずかなスペースのみなので、端部ギリギリに固定することができるようになったのです。

楽々打ち込みができるブルームセッター

ブルームスタッドは芯棒を打ち込むだけでアンカーが固定される誰でも使用できるワンサイドボルトです。芯棒を打ち込む時に、ハンマーを垂直に落とし叩いていくのですが、不注意で芯棒を曲げてしまったりするときってありますよね。なるべくミスを減らしたいというお声を聞き、日本パワーファスニングではブルームセッターをご用意しています。

ブルームセッター

使用方法はとても簡単です!ブルームスタッドの作業手順で解説した通り、まず部材にドリルで穿孔します。そこに通常通りブルームスタッドを挿入させます。そしてここからがブルームセッターの出番です。ブルームセッターの先のグレー部分を穿孔に挿入させたブルームスタッドにあてます。そして頭部にある大きな芯棒をハンマーで打ち込んでいくとブルームスタッドの芯棒が曲がることなく打ち付けられ、アンカーの拡張部がきちんと開脚され固着されるのです。

芯棒を打ち込む作業は簡単なものの、不慣れな初心者や芯棒を曲げないか心配な方などはブルームセッターで芯棒の打ち込み作業をサポートすることができるので、安心して作業することを実現させました。

ブルームスタッドの詳細情報

  • ブルームスタッドの仕様
  • 実体引抜き試験 技術データ
試験本数:各3本
※最大荷重は社内試験における実経値です。保証値ではありません。
  • 実体せん断試験 技術データ
試験本数:各3本
※最大荷重は社内試験における実経値です。保証値ではありません。