オールアンカーとねじ固定式アンカーの違いを解説!

アンカーの種類

アンカーとはコンクリートに部材を取り付けたり固定する際に使用されるコンクリート用のねじや釘のようなものを言います。コンクリートに打ち込むものをアンカーと呼び、さらにコンクリートが固まったあとにドリルで穴をあけ、そこにアンカーを打ち込むものを「あと施工アンカー」と呼びます。

あと施工アンカーには「金属系アンカー」「接着系アンカー」「その他のアンカー」と大きく分けて3種類のアンカーがあります。
「金属系アンカー」は母材にドリルで穴をあけ、その穴にアンカーを挿して打ち込みます。するとアンカーの拡張部が開き、孔壁に機械的に固着するものをいいます。次に「接着系アンカー」は母材にドリルで穴をあけ、その穴に詰めたカプセル式または注入式の接着剤が化学反応により硬化し、固着するものをいいます。「その他のアンカー」は金属系アンカーと接着系アンカー以外のものを言い、材質や施工方法もいろいろとあります。

そして、アンカーの施工方法には「打ち込み式」「締め付け式」「ねじ固定式」などがあります。
「打ち込み式」はアンカー本体を打ち込み固定させるというアンカーです。打ち込み式の施工方式はとてもシンプルで、ドリルで穴をあけたところにアンカーを挿入し、打ち込み式アンカーをハンマーで打ち込みます。頂部まで達すると拡張部が開脚し固着されるのです。

次に「締め付け式」はトルクレンチなどを使い締め付けて仕上げるアンカーのことを指します。締め付け式の施工方法は打ち込み式と同じようにドリルで穴をあけます。アンカーを挿入する前にナット上部と本体テーバー端部が合うようにセットしてから穴に挿入してハンマーで打込んでセットします。最後にトルクレンチで所定のトルクまで締め付けて施工完了です。

最後の「ねじ固定式」はインパクトドライバーを使用して打ち込むアンカーを指します。こちらもドリルで穴をあけ、底にアンカーを挿入しインパクトドライバーで埋め込んでいきます。埋め込んだらナットを締め付け施工完了です。

オールアンカーとは

様々なアンカーがある中で「オールアンカー」という言葉を聞いた事はありませんか。「オールアンカー」とはアンカーの施工方法の一つである「打ち込み式」の「芯棒打ち込み式アンカー」のことなのです

コンクリート用芯棒打ち込み式の金属系アンカーは「オールアンカー」とも呼ばれています。

ドリルであけた穴にオールアンカーを挿入させハンマーを使用してオールアンカーを叩いていきます。所定の位置まで叩いたらナットをレンチやスパナなどを使用して締めて固定させます。施工過程でハンマーを使用してオールアンカーを叩いていくのですが、なるべく垂直にオールアンカーを叩かないといけません。なぜなら、斜めに叩いてしまうとオールアンカーのピンが曲がってしまい、最後まで叩けなくなってしまいます。そうすると頂部の拡張部が開脚されずに固着することができないのです。叩く作業にも洗練された技術が必要なのです。そして最後にオールアンカーのナットを締めて取り付け完了です。

最新のコンクリート用ねじ固定式アンカー

様々な種類があるアンカーの中から今回はコンクリート施工に安心して使用できるねじ固定式アンカーをおすすめします!オールアンカーと同じ打ち込み式アンカーなのですが、拡張はせずにしっかりとコンクリートに食い込む方法はないかと考えついたのがコンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」です。こちらは日本パワーファスニング株式会社の商品であり、ねじの固着原理を利用したコンクリート用ねじ固定式アンカーなのです。タップスターはコンクリート用なのでソーラーパネルやベルトコンベアー、墜落防止手すりなどを固定させる際に使用することができ、様々な場面で活躍してくれます。

コンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」

最新のコンクリート用ねじ固定式アンカー「タップスター」の施工方法は、まず所定の位置にドリルで穴をあけていきます。この際、アンカーを埋め込む深さより10mm程度深めにあける必要があるので、作業前にドリルにテープなどでマーキングしておきます。ドリルで穴をあけたらコンクリートの切粉が出てくるのでダストポンプや集塵機で切粉を除去します。インパクトドライバーにタップスター専用のソケットを装着します。ドリルであけた穴にタップスターを挿しこみインパクトドライバーで埋め込み深さまでねじ込みます。最後にナットで取り付け物を固定して完了です。

初心者でも簡単に取り扱える!

日本パワーファスニングで開発された「タップスター」は、初心者でも確実な施工を行えるように開発されているので、まさに施工業者には心強い部品の一つです。ではどの様なところにタップスターのメリットがあるのでしょうか。

  1. 誰でも確実な施工をすることができる
    コンクリート用によく使われているオールアンカーは芯棒を打ち込むことにより、オールアンカーが拡張されてコンクリートとオールアンカーを固着されます。芯棒を打ち込む際にハンマーを垂直に振り下ろさないと芯棒がうまく打ち込まれていかないのですが、この作業を初心者が行うと振り下ろし方を誤ってしまい芯棒が曲がってしまうということがあります。ここがオールアンカーの弱点とも言えます。曲がってしまうと芯棒が頂部まで達しておらずオールアンカーが拡張できていないのできちんと固着されていないのです。しかし、タップスターは芯棒ではなく、ねじ工程式でコンクリート下穴の壁にアンカー自身のねじ山を食い込ませ固定させるため、初心者でも確実に施工をすることが可能なのです。

  2. 施工スピードが断然アップ
    なんといってもタップスターはハンマーで力を使って打ち込む必要がないことが特徴です。場所によっては芯棒の打ち込みが甘くなってしまいオールアンカーが拡張されていないにも関わらず、施工が進んでしまっているということがありますが、タップスターの場合はこのような心配はありません。インパクトドライバーを使用してタップスターを埋め込んでいくのでパワーの節約にもなり、埋め込み不足という心配も軽減されるでしょう。また、オールアンカーだと難しかった上向きや隅部での施工もタップスターではインパクトドライバーを使用するので楽々スピーディーに行えるのです。

  3. コンクリートが割れる心配がない
    コンクリートにオールアンカーを固定させる際、芯棒を曲げずに打込ませ、きちんと拡張させたにも関わらずやり直さなければならない場面が出てきてしまうことがあります。それは、へりあきの距離が不足している時に起きるコンクリート割れです。アンカーを打ち込む前に事前準備として「はしあき」や「へりあき」の距離を測り墨入れを行います。この時にオールアンカーが拡張しても問題がない距離にへりあきの墨入れをするのですが、この距離が不足するとオールアンカーが拡張した際にコンクリートが耐えられなくなり割れてしまうのです。一方のタップスターはオールアンカーのような拡張はせずまっすぐにタップスターを埋め込むだけなので、コンクリートが割れるリスクを大幅に軽減できます。

  4. 楽々撤去できる
    オールアンカーはアンカーを撤去する際、切断する必要があります。切断する際に時間がかかるだけではなく、切断する時に出る火花対策や切断面のサビ対策などが必要となってきます。また残ったオールアンカー本体が錆びて膨張し躯体に悪影響を及ぼす恐れがあります。しかし一方の、タップスターはインパクトドライバーで取り外すことができるので瞬時に撤去することができるのでオールアンカーのように手間や時間をかけることはありません。また、日本パワーファスニングはステンレス製のタップスターもあります。ステンレスは錆びにくいので、色々な場所で利用できると共に、錆びていて撤去できないというリスクを軽減させました。

タップスターの寸法・施工使用

タップスターはステンレス製のそのほかにも鋼製があり用途によって使い分けていただくことができます。

タップスターの寸法(全長は先端凸部を含みません。)

そのほかにも新しく「タップスターM16」も開発され、ドリル径が15.0と従来のオールアンカーより2mm細く、コンクリートの抵抗力が弱まるので穿孔スピードが上がり、施工効率をアップさせます。「タップスターM16」でも端部や仕上げ材が割れにくいメリットもありますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。